モンパルナスSNCF駅に着いたのは発車時刻(9:10)の25分まえ。
なんとか無事に乗れそうだと思いきや、そうもいかなかった。
とにかく、全てが分かりにくいのだ。
まず改札はなく、自分で刻印機に切符を差込んで刻印しておかなければならない。しかし、どれが刻印機なのかわからず、訊かなければならなかった。
そして昨日の今日なのに、やはりホームがわかりにくい。
さらには、指定席を探すのにも苦労した。何号車の何番とは買いてあるのだが、その車両にいっても該当の番号が見つからないのだ。
結局違う車両に乗っていたわけなのだが、そんなこんなで着席できたのは発車時刻の5分まえだった。

TGVで田園風景をながめつつサンピエール駅まで1時間。そこで接続している普通列車に乗り換えて一駅、5分でトゥール着だ。パリからは70分。日本語ガイドつきのツアーバスがパリから出ているのは知っていたが、国鉄にものってみたかったし、こういうほうが面白いと思ったのだ。

トゥールで汽車を降りる.
構内にミニバスツアーのブースがあった。
きれいで優しそうな中年女性ががチラシを配っている。

地球の歩き方には3社のツアーが紹介されていたが、駅構内にブースがあるのはここだけと写真がでていた。
彼女は、そう、その写真がうちです、と英語で説明を始めた。
午後1時半にスタートして、この駅に戻ってくるのが6時ころ。帰りの汽車は7時半なので十分間に合う。見学するお城は3つ。
とても感じがいいので、お願いすることにした。ひとり22eur。
彼女はさらに地図のコピーを出して、出発までの2時間は、この順番でこれこれをしなさいと、地図にマーカーを塗りながらアドバイスしてくれた。

ぼくらは駅をでて、彼女の地図をみながら、市庁舎の前を通り、中心街のほうの向かった。
なんて美しい街だろう。

なんとも偶然なのだが、パリまでのフライでkayの隣になったK大生の女性が、両親がこのトゥールに住んでいるので帰省してきたのだという。きれいなところだと話を聞いたこともあって、トゥールの街も歩きたかった。パリからのツアーバスをやめた理由にそれもある。期待にたがわぬ美しい街並みをみながら、一度でもこんなところに住んだら、とてもパリなんかには暮らせなだろう、と思った。


しばらく行くと、彼女のお勧めコースに入っている教会の前にきた。
中からパイプオルガンの音が聞こえた。日曜日なのでミサらしい。入り口付近で賛美歌のコピーを配っている尼さんに会釈して、中に入らせてもらった。
観光客はいない。トゥールの人たちがミサに来ている教会なのだ。
ぼくらは椅子に腰かけて、ミサを見学させてもらった。
重層なパイプオルガンの伴奏をバックに流れる、美しい賛美歌のコーラスを聴いていると、異教徒ながら、心洗われるような敬虔な気分になった。
ぼくらはそこに20分ほどいて、いくばくかの小銭を献金箱に入れてから教会を後にした。


そこで食事をするといいと勧められた一番の繁華街に来た。
日曜日なのでほとんどの店は開いていなかったが、観光客が多いためあろう、広場の周りの飲食店はみんな営業していた。


その中の一軒のオープンデッキに腰掛け、ガレットやサラダを食べた。
ガレットを食べるのは初めてだったが、実においしかった。ボリュームもまずまず。
エスプレッソ、カプチーノももちろんうまい。
パリでも思ったが、こういうものやパン、サンドイッチ、ケーキなどがすべて美味しいので、フランスではアメリカ資本のファーストフード店などが流行るわけがない。
さすがにマックとスタバは何軒もあったが、そのほかのファーストフードチェーン店はほとんど見ない。


腹ごしらえをしたあとは、彼女の一番のお勧めだといった教会へ回った。
しばらく歩いて角を曲がって、その教会が視界に入ってきたとき、kayは背筋に寒気が走ったという。
その表現は大げさではない。
昨日みたノートルダム寺院よりも、美しく、荘厳で素晴らしいと思う。それは、ぼくら3人の共通の感想だった。
2日にわたって苦労したが、トゥールに来たのは正解だった。


